🏃♂️ランナーに多いケガ 第6回 アキレス腱障害(Achilles Tendinopathy)

ランナーに多いケガ⑥
朝起きた時にかかとの上が痛い? それは「アキレス腱障害」かもしれません
かかとの上あたりやふくらはぎの下に痛みを感じたことはありませんか?
それはアキレス腱障害かもしれません。特にランナーにとってはとても多いケガで、オーバーユース(使いすぎ)が原因となることがほとんどです。
症状の特徴
- 朝一番での歩き始めに痛み
- アキレス腱の腫れ・熱感・押すと痛い
- ランニングやジャンプ動作の後でふくらはぎ〜かかとの張り感
- 重症化すると腱の肥厚や硬さを感じる
主な原因
- 急激な運動量の増加や坂道ランニング
- ふくらはぎの筋肉の柔軟性の低下や筋力不足
- ストレッチ不足、ウォーミングアップ不足
- 足関節の可動性低下
- クッション性のないシューズや摩耗した靴の使用
アキレス腱障害の分類
| 分類 | 特徴 |
| 急性 | 炎症を伴い、熱感や腫れが強く、強い痛みを伴う |
| 慢性 | 痛みはあるが炎症は少なく、腱が肥厚して硬くなる傾向がある |
フィジオ(理学療法)での対処法
【急性期】
- 安静とアイシング
- テーピングやヒールリフトによるサポート
- ストレッチは控え、炎症が落ち着くまで待つ
【慢性期】
- エキセントリック・トレーニング(偏心運動)
- 例:階段でのかかと下ろし運動(ヒールドロップ)
- ふくらはぎ・足関節周囲の可動域向上
- 理学療法士の手技療法や超音波治療など
アキレス腱障害が慢性化している場合、最大の治療ポイントは**「腱に適切な負荷をかけて再生を促す」**ことにあります。これにおいて最も有名で効果的とされている方法が、**アルフレドソン・プロトコル(Alfredson Protocol)**です。
このプロトコルはスウェーデンの整形外科医ハーカン・アルフレドソン医師によって開発されました。
当初、彼自身がアキレス腱障害を患い、手術を勧められましたが、自らの研究のために意図的に腱に負荷をかけるエキセントリック運動(偏心運動)を行い(階段の角を何度も踏みつけて強くアキレス腱に負荷をかけ続け痛みが解消した)、手術なしで改善したというエピソードがこのプロトコル誕生のきっかけです。
このプロトコルでは、
- 階段などでの「かかと下ろし運動(heel drop)」を1日2回、各15回×3セット(膝伸展・膝屈曲)ずつ
- 痛みがあっても続けること
- 徐々に負荷を増やす(ダンベルなど)
というような筋肉・腱にストレスを加えることで再生を促すリハビリが行われます。
このように、腱や筋肉に**「コントロールされた負荷」を与えることで再生を引き出す**という考え方は、近年のスポーツ障害治療における中心的アプローチの一つです。
痛みを完全に避けるのではなく、適切な負荷で治すという逆転の発想が、アルフレドソン・プロトコルの核心なのです。
再発予防のポイント
- クッション性のあるランニングシューズを選ぶ
- ウォーミングアップとふくらはぎストレッチの徹底
- 筋トレと並行したトレーニング量のコントロール
- トレーニング後のケア(アイシング・マッサージ)